○佐呂間町職員等の公益通報に関する規程
令和6年2月2日
訓令第3号
(目的)
第1条 この規程は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号)に基づき、町、町職員等の法令違反行為等に関する町職員等からの通報等に対応する仕組みを整備し運用することにより、通報等をした者及び調査協力者(以下「通報等をした者等」という。)を保護するとともに、町組織の自浄作用の向上に寄与することにより町の法令遵守を図り、もって町民の信頼を確保することを目的とする。
(1) 町職員等 次のいずれかに該当し、又は該当していた者(退職して1年以内の者に限る。)をいう。
ア 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職の職員及び同条第3項第3号に規定する特別職の職員
イ 町から事務事業を受託し、又は請け負った事業者並びにその役員及び従業員
ウ 町の施設の指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。)の役員又は従業員
(2) 法令違反行為等 町及び町職員等の職務の執行について、法令(法律、法律による命令、条例、町が定める各種規則その他の規程を含む。以下同じ。)に違反する行為及びその他不適正な行為をいう。
(3) 通報 法令違反行為等が生じ、又はまさに生じようとしていると思料して、その旨を知らせることをいう。
(4) 相談 内部通報に先立ち又は関連して必要な助言を受けることをいう。
(5) 通報等 通報又は相談を併せたものをいう。
(6) 内部通報 法令違反行為等が生じ、又はまさに生じようとしていることを通報窓口又は職制上の上司に通報することをいう。
(7) 通報窓口 町組織内に設置した、利用対象者が通報等をするための窓口をいう。
(8) 利用対象者 通報窓口を利用することができる者のことであり、町職員等をいう。
(9) 対象事案 通報窓口に対して内部通報された事案をいう。
(10) 通報対応業務 通報等を受け対象事案の調査及び対象事案の是正措置等を検討・実行する業務をいう。なお、かかる業務の全部又は一部を実行する場合のいずれであっても、通報対応業務を行っているものといえる。
(11) 通報窓口担当者 通報窓口において通報等を受け付ける者をいう。
(12) 調査担当者 対象事案の調査に関与する者をいう。
(13) 通報等をした者を特定させる事項 通報等をした者又は調査協力者が誰であるか認識することができる事項をいう。
(14) 従事者 通報窓口において受け付ける内部通報に関して通報対応業務を行う者であり、かつ、通報等をした者を特定させる事項を伝達される者をいう。
(15) 調査協力者 対象事案に関する調査に協力した者をいう。
(16) 被通報者 法令違反行為等を行った、行っている又は行おうとしているとして通報された者をいう。
(17) 範囲外共有 通報等をした者を特定させる事項を必要最小限度の範囲を超えて共有する行為をいう。
(18) 通報等をした者等の探索 通報等をした者等を特定しようとする行為をいう。
(19) 処分等 法令等に定める懲戒処分、口頭での指導や注意を含め、町が行うことができる一切の措置をいう。
(20) 不利益な取扱い 通報等をしたこと又は対象事案に関する調査に協力したことを理由とする町、町職員等からの懲戒処分その他の不利益な取扱いをいう。
(21) 発生部署 法令違反行為等が生じ、又はまさに生じようとしている部署をいう。
(22) 是正措置等 是正に必要な措置及び再発防止策を併せたものをいう。
(内部通報の体制整備)
第3条 町は、町職員等からの通報等に対応する仕組みを整備し、通報対応業務を統括する通報対応責任者を置くこととし、総務課長をもってこれに充てる。
2 通報対応責任者は、通報対応業務を適切に行うため、次に掲げる内部通報対応体制を整備し、運用する。
(1) 通報窓口の設置をすること。
(2) 対象事案が、町長その他町幹部職員に関係する場合、これらの者からの独立性を確保する措置をとること。
(3) 通報窓口において、通報により調査中の対象事案と同種案件であるもの、既に対象事案に関する調査又は是正措置等がとられ解決済みであるもの、内部通報をした者と連絡が取れず事実確認が取れないもの等、正当な理由がある場合を除いて、必要な調査を実施すること。
(4) 前号の調査の結果、対象事案について法令違反行為等が明らかになった場合、是正措置等をとること。
(5) 前号の是正措置等をとった後、当該是正措置等が適切に機能しているかを確認し機能していない場合、改めて是正措置等をとること。
(6) 通報対応業務において利益相反を排除すること。
(7) 不利益な取扱いが行われることを防止すること。
(8) 範囲外共有を防止すること。
(9) 通報等をした者等の探索を行うことを防止すること。
(10) 公益通報者保護法及び町内部通報対応体制について、町職員等に対して教育・周知を行うこと。
(11) 従事者に対しては、通報等をした者を特定させる事項の取扱いについて特に十分な教育を行うこと。
(12) 通報窓口は、利用対象者から寄せられる内部通報及び相談に対応すること。
(13) 通報窓口において、文書による内部通報を受け付けた場合、当該内部通報に係る法令違反行為等の中止その他是正に必要な措置をとったときはその旨を、当該内部通報に係る法令違反行為等がないときはその旨を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、当該内部通報をした者に対し、速やかに通知すること。
(14) 通報窓口に寄せられた内部通報への対応に関する記録を作成し、適切な期間保管すること。
(15) 内部通報対応体制の定期的な評価・点検を実施し必要に応じて内部通報対応体制の改善を行うこと。
(16) 通報窓口に寄せられた内部通報に関する運用実績の概要を適切な業務の遂行及び利害関係人の秘密、名誉、プライバシー等の保護に支障のない範囲において利用対象者に開示すること。
3 通報対応責任者は、前項に規定する事務を総務課総務係に行わせることができる。
(通報窓口)
第4条 町において通報等を受け付けるため、内部窓口を設置し、総務課総務係の担当者を通報窓口担当者として定め、通報等の受付を担当させ、通報対応責任者がこれを統括する。
2 前項に定める通報窓口担当者であって通報等をした者を特定させる事項を伝達される者は、従事者として指定される。
3 第7条第3項に定める調査担当者であって通報等をした者を特定させる事項を伝達される者は、従事者として指定される。
4 第8条第4項に定める対象事案の是正措置等を検討又は実行する者であって通報等をした者を特定させる事項を伝達される者は、従事者として指定される。
5 通報対応責任者は、前3項の規定により指定される従事者に対し、従事者の地位に就くことが当該者自身に明らかとなる方法により伝達する。
(通報窓口の利用方法)
第5条 利用対象者は、通報窓口に対し、次の各号に定める事項を、電話、電子メール、FAX、郵送又は面談の方法により知らせることで、内部通報をすることができる。
(1) 法令違反行為等に関する事実の内容
(2) 法令違反行為等が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由
2 利用対象者は、匿名で通報窓口を利用することができる。
(情報を共有する者の範囲)
第6条 通報等をした者を特定させる事項を通報対応責任者及び通報窓口担当者に限り共有するものとし、正当な理由がない限り、当該範囲を超えて共有しない。
2 通報等をした者を特定させる事項以外の情報についても、共有範囲については慎重に検討することとし、原則として通報窓口担当者、調査担当者、対象事案の是正措置等を検討又は実行する者に限り共有し、不当な目的に利用してはならない。ただし、当該通報等をした者があらかじめ明示的に同意した場合又はその他正当な理由があると客観的に判断される場合は、この限りでない。
3 対象事案に関する調査により得られた情報のうち調査協力者を特定させる事項は、調査担当者に限り共有する。ただし、当該調査協力者があらかじめ明示的に同意した場合又はその他正当な理由がある場合は、この限りでない。
4 調査協力者から得られた調査協力者を特定させる事項以外の情報は、調査担当者に限り共有する。ただし、調査協力者があらかじめ明示的に同意した場合又はその他正当な理由がある場合は、この限りでない。
5 町は、前4項に違反した者に対して適切な処分等を課す。
(調査)
第7条 通報対応責任者は、通報の調査を統括し、通報により調査中の対象事案と同種案件であるもの、既に対象事案に関する調査又は是正措置等がとられ解決済みであるもの、内部通報をした者と連絡が取れず事実確認が取れないもの等、正当な理由がある場合を除いて、直ちに必要な調査を実施する。
2 通報対応責任者は、町長その他町幹部職員が関与する法令等違反が明らかになった場合、調査に関する独立性を確保するため、外部弁護士又は第三者委員会のモニタリングを受けながら調査する。
3 通報対応責任者は、対象事案について、当該通報窓口担当者又は発生部署で法令等遵守について担当する者(以下「法令等遵守担当者」という。)を調査担当者として定め、調査を担当させる。
(是正措置等)
第8条 調査担当者は、調査の結果法令違反行為等が明らかとなった場合、その旨を通報対応責任者に報告する。
2 通報対応責任者は、対象事案の是正措置等の検討及び実行を統括し、前項による報告を受けたときは、速やかに自ら又は第三者をして是正措置等の検討及び実行をする。
3 通報対応責任者は、当該通報窓口担当者又は発生部署の法令等遵守担当者を対象事案の是正措置等を検討又は実行する者として定め、是正措置等の検討又は実行を担当させることができる。
4 通報対応責任者は、町長その他町幹部職員が関与する法令等違反が明らかになった場合、是正措置の検討及び実行に関する独立性を確保するため、外部弁護士又は第三者委員会のモニタリングを受けながら是正措置を検討及び実行する。
5 通報対応責任者は、法令違反行為等の是正措置等が適切に機能しているかを検証し、適切に機能していないことが判明した場合、追加の是正措置等を講ずる。
(処分等)
第9条 第7条による調査の結果、法令違反行為等が明らかになった場合には、町は、当該法令違反行為等に関与した者に対して適切な処分等を課す。
(記録)
第10条 通報対応責任者は、通報窓口に寄せられた内部通報への対応に関する記録を作成し、少なくとも対応終了後10年間、保管する。
(協力義務)
第11条 町職員等は、通報対応責任者が行う調査に協力する。
2 町職員等は、調査を受ける場合には、これに誠実に応じなければならず、虚偽を述べてはならない。
3 前2項に違反した町職員等に対して適切な処分等を課すことができる。
(通報等をした者等の保護)
第12条 町、町職員等は、通報等をした者に対して、通報等をしたことを理由として、不利益な取扱いを行ってはならない。
2 町職員等は、調査協力者に対して、対象事案に関する調査に協力したことを理由として、不利益な取扱いを行ってはならない。
(通報等をした者等の探索の禁止)
第13条 町職員等は、通報等をした者等の探索をしてはならない。
2 町は、前項に違反した者に対して適切な処分等を課す。
(秘密保持)
第14条 町職員等は、この規程に定める場合のほか、法令に基づく場合等の正当な理由がない限り、対象事案に関する情報を開示してはならず、当該情報について秘密を保持しなければならない。
2 町職員等は、この規程に定める場合のほか、法令に基づく場合等の正当な理由がない限り、対象事案に関する情報を目的外に使用してはならない。
3 前2項に違反する行為が行われた場合には、町は、当該者に対して適切な処分等を課す。
(利益相反の排除)
第15条 次の各号のいずれかに該当する場合、対象事案の通報窓口担当者、調査担当者又は是正措置等の検討若しくは実行に関与する者となることができない。
(1) 法令違反行為等の発覚や調査の結果により実質的に不利益を受ける者
(2) 内部通報をした者又は被通報者と親族関係にある者
(3) 公正な対象事案に関する調査や法令違反行為等の是正措置等の検討又は実施を阻害しうる者
2 通報窓口担当者は、自らが前項各号のいずれかに該当する内部通報を受け付けた場合、他の通報窓口担当者に引き継ぐ。
3 調査担当者又は是正措置等の検討若しくは実行に関与する者は、それぞれ業務に着手する時点で、第1項各号のいずれにも該当しないことを確認し、そのいずれかに該当する場合、通報対応責任者に報告する。
5 町は、第1項各号のいずれかに該当することを報告することなく通報対応業務に関与した者に対し、処分等を課す。
(通知等)
第16条 通報窓口担当者は、内部通報をした者の連絡先の分からない場合を除いて、当該者に対して、当該内部通報を受け付けた旨を、当該内部通報の日から20日以内に通知しなければならない。
2 通報窓口担当者は、内部通報をした者の連絡先の分からない場合を除いて、当該者に対して、対象事案に関する調査の結果及び是正措置等について、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、速やかに通知しなければならない。
3 通報窓口担当者は、内部通報をした者の連絡先の分からない場合を除いて、対象事案に関する調査開始後是正措置完了までの間、必要に応じて、第12条第1項に規定する不利益な取扱いを受けていないか確認しなければならない。
4 調査担当者は、調査協力者に対して、対象事案に関する調査開始後是正措置完了までの間、必要に応じて、第12条第2項により禁止される不利益な取扱いを受けていないか確認をする。
(職制上の上司への通報)
第17条 町職員等は、職制上の上司に対して内部通報をすることができる。
2 前項の内部通報を受けた者は、事案の内容等に応じて、自ら事実確認を行い是正する、通報窓口担当者に法令違反行為等が生じ、又はまさに生じようとしている旨を伝える、自らの上長等に対して当該内部通報に係る事実を伝える、内部通報をした者の秘密に配慮しつつ調査を担当する部署等に情報共有する等の方法により、調査や是正に必要な措置を速やかに実施するなど、必要な措置を講ずる。
3 職制上の上司への通報も、内部通報として次のとおり保護する。
(1) 町、町職員等は、職制上の上司に対して内部通報をした者に対して、内部通報をしたことを理由として、不利益な取扱いを行ってはならない。
(2) 町職員等は、内部通報をした者を特定させる事項を範囲外共有してはならない。
(3) 町職員等は、職制上の上司へ内部通報をした者を特定しようとしてはならない。
4 町は、前項に違反する行為が行われた場合、当該違反者に対して適切な処分等を課す。
(公益通報者保護法第3条第2号又は第3号通報を行った者の保護等)
第18条 町、町職員等は、公益通報者保護法第3条第2号及び第3号に定める保護要件を満たす公益通報をした者に対して、当該通報をしたことを理由として、不利益な取扱いを行ってはならない。
2 町職員等は、前項に定める公益通報をした者を特定させる事項を範囲外共有してはならない。
3 町職員等は、第1項に定める公益通報をした者を特定しようとしてはならない。
4 町は、前3項に違反する行為が行われた場合、当該違反者に対して適切な処分等を課す。
(不正の目的による通報等の禁止)
第19条 町職員等は、虚偽の通報等や、他人を誹謗中傷する目的の通報等その他の不正の目的の通報等をしてはならない。
(留意事項)
第20条 通報等をした者は、通報等をした情報が拡散することにより自らが不利益な取扱いを受ける可能性が高いことに鑑み、当該情報の管理に留意する。
2 調査協力者は、調査に関する情報が拡散することにより自ら及び通報等をした者が不利益な取扱いを受ける可能性が高いことに鑑み、当該情報の管理に留意する。
(リニエンシー)
第21条 町は、法令違反行為等に関与した町職員等が自主的に内部通報した場合や調査に協力した場合、処分等を減免することがある。
(通報に対する評価)
第22条 町は、重大な法令違反行為等の発見及び是正に寄与した通報等をした者等に対して、積極的な評価を行う。
(教育・周知)
第23条 通報対応責任者は、個人情報等の保護に配慮した上で、通報窓口の運用実績について町職員等に対して周知する。
2 通報対応責任者は、町長その他町幹部職員を含む全ての町職員等に対して、定期的に公益通報者保護法及び町内部通報対応体制に関する教育・周知を行う。
3 通報対応責任者は、通報窓口担当者及び調査担当者、並びにそれらの担当者となる可能性の高い町職員等に対して、この規程の適切な運用を確保するため、定期的に教育及び研修を行うこととし、通報等をした者を特定させる事項の取扱いについて特に十分な教育を行う。
(体制の整備、運用及び改善等)
第24条 通報対応責任者は、利用対象者の利便性を高めるため、利用対象者の意見を聴取した上で、この規程に基づく体制の整備、運用及びその改善に努める。
2 通報対応責任者は、町長に対して、この規程に基づく体制の整備及び運用状況等について定期的に報告する。
3 通報対応責任者は、この規程に基づく体制の整備及び運用状況等について、定期的に客観的かつ公正な方法による評価、点検等を行い、必要に応じて改善策を講ずる。
4 通報対応責任者は、通報窓口に寄せられた内部通報に関する運用実績の概要を適切な業務の遂行及び利害関係人の秘密、名誉、プライバシー等の保護に支障のない範囲において、各年度の終了後、速やかに公表する。
附則
この訓令は、令和6年4月1日から施行する。