○佐呂間町議会基本条例

令和5年3月13日

条例第7号

(前文)

佐呂間町は、多くの先人の英知と努力、そして郷土愛によって豊かな自然とともに発展してきました。

地方分権の進展とともに、町民、議会、町長、その他執行機関が、それぞれの役割と責任を自覚し、未来へ豊かな佐呂間町を手渡すため新しい時代を切り開いていくことが求められています。

議会議員と町長は、町民の選挙によって選ばれた二元代表制の下、地方自治の本旨に基づき、町民の福祉向上のためにそれぞれの役割を果たし、町民の意思を的確に反映するという共通の使命が課せられています。

佐呂間町議会は、町民に開かれた議会を目指し、情報公開に努め説明責任を果たす努力をするとともに、議会に与えられた権限と役割を最大限に発揮するため、ここに佐呂間町議会の運営に関する最高規範として、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、町民に身近な議会として、議会及び議員の活動の活性化を進める上で、必要な議会運営の基本事項を定め、町政の情報公開と町民参加のまちづくりを基本とし、町民の福祉向上及び佐呂間町の持続的で豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の役割)

第2条 議会は、町民の代表である議員により構成する議事機関として、議決の権限を行使し、町の意思決定を担う。

(議会の活動原則)

第3条 議会は、次に掲げる原則に基づき、活動しなければならない。

(1) 議会は、公平性、透明性を確保するとともに、町民に開かれた議会を目指す。

(2) 議会は、議決責任を深く認識し、町民に対してわかりやすい情報の発信に取り組むとともに、説明責任を果たす。

(3) 議会は、自由闊達な討議を行い、町政の課題に関する論点及び争点を明らかにするよう努める。

(4) 議会は、把握した町民の多様な意見を基に政策提言、政策立案等の強化に努める。

(5) 議会は、町民本位の立場から、適正な町政運営が行われているかを監視し評価する。

(議長及び副議長)

第4条 議会の議長(以下「議長」という。)は、議会を代表する中立的かつ公平な立場においてその職務を行い、議会の秩序を保持し、民主的な議会運営を行わなければならない。

2 議会の副議長は、議長を補佐し、議長の職務遂行に寄与しなければならない。

(議員の活動原則)

第5条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 議員は、町民全体の奉仕者であって、一部の奉仕者でないことを自覚し活動する。

(2) 議員は、町政の課題について、分野別、地域別等の町民の意見を的確に把握し、自己の能力を高める不断の研鑽に努め、町民に選ばれた者としてふさわしい活動をしなければならない。

(3) 議員は、議会が討議の場であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互の自由な討議の推進に努める。

(会派の結成等)

第6条 議員は、議会活動を円滑に遂行するため、政策を中心とした同一の理念を有して活動する会派を結成することができる。

2 会派は、政策立案、政策決定等に関して合意形成に努めるものとする。

第3章 町民と議会の関係

(町民と議会の協働)

第7条 議会は、議会の活動に関する情報公開と説明責任を十分に果たさなければならない。

2 議会は、本会議及び各委員会の会議を原則公開するものとし、全員協議会においても同様の扱いとする。また、町民が議会の活動に参加できるような措置を講じるものとする。

3 議会は、町民との意見交換の場を多様に設け、町民の意見を議会及び議員の政策立案に反映させるものとする。

4 議会及び委員会は、請願及び陳情を町民の政策提案と位置付け、その審議においては必要に応じ、提出者の意見を聴く機会を設けることができる。

5 議会及び委員会は、本会議及び各委員会の運営に当たり、参考人制度等を活用し、町民や学識経験者等の専門的、政策的識見等を議会の討議に反映できるものとする。

6 議会は、議案等に対する議員の賛否について議会広報等で公表するなど、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努める。

7 議会は、町民に対し説明責任を果たす議会報告会(議会懇談会)を少なくとも年1回開催するとともに、町民の意見を広く聴取して議会活動に反映させるものとする。また出向き懇談会の取組も積極的に行うものとする。

第4章 町長等と議会の関係

(町長等と議会及び議員の関係)

第8条 議会は、町長その他執行機関及びその職員(以下「町長等」という。)との立場及び権能の違いを踏まえ議会活動を行う。

2 議会における議員と町長等の質疑応答は、広く町政上の論点、争点を明確にするため一問一答方式で行う。

3 本会議及び各委員会に出席を要請された町長等は、議員の質問の趣旨、内容等を確認する必要がある場合は、議長又は委員長の許可を得て反問することができる。

(町長による政策形成過程の説明)

第9条 議会は、町長が提案する計画・政策・施策・事業等(以下「政策等」という。)について、政策等の水準を上げるため、次に掲げる政策等の決定過程の説明を求めることができる。

(1) 政策等を検討する背景

(2) 検討した他の政策等の内容

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 基本構想及び総合計画との整合性

(5) 関係ある法令及び条例等

(6) 政策等の実施にかかわる財源措置

(7) 将来にわたる政策等のコスト計算

2 議会は、前項の政策等を審議するに当たり、それらの政策等の水準を高める観点から、立案、執行における論点、争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に努めるものとする。

3 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、分かりやすく施策別、事業別の政策説明資料を作成するよう求めることができる。

(議決権限の拡大)

第10条 町民の直接選挙によって選ばれる町長と議会議員によって構成される議会が、ともに町政における重要な計画等の決定に公平に参画する観点から、地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項に規定する議会の議決事件について、次のとおり定める。

(1) 佐呂間町高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画

(2) 佐呂間町子ども・子育て支援事業計画

(3) 姉妹都市又は友好都市の提携に関すること。

第5章 議員間による自由討議

(討議による合意形成)

第11条 議会は、議員による討論の場であることを十分認識し、議員相互間の討議を中心に運営する。

2 議会は、議員提出案件、町長提出案件及び町民提案等を審議し結論を出す場合、議員相互間の自由討議により議論を尽くして合意形成に努め、町民に対する説明責任を果たさなければならない。

第6章 議会機能の強化と体制整備

(議会活性化の推進)

第12条 議会は、社会環境、経済情勢等の変化により新たに生じる町政の諸課題に対応するため、継続的な議会の活性化に努める。

(議会モニターの設置)

第13条 議会は、町民参加と町民意見等の反映を図り、開かれた議会及び民主的な議会運営等を推進するため、議会モニターを設置できるものとする。

2 前項の議会モニターに関し必要な事項は、議長が別に定める。

(議員研修の充実強化)

第14条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図り、この条例の理念を議員に浸透させるよう努める。

2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、町民各層等から情報を得て、議員活動に活用する議員研修会及び研究会などに積極的に参加する。

(議会の情報公開)

第15条 議会は、町政に係る重要な情報を議会独自の視点から、常に町民に対して周知するよう努める。

2 議会は、情報通信技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報活動に努める。

(議会事務局の体制整備)

第16条 議会は、議員の政策形成及び政策提案を補助する議会事務局における法務機能の充実に努め、行政から独立した機関としての議会事務局体制の整備を図る。

(議会図書室の充実)

第17条 議会は、議員の調査研究、政策形成及び立案能力の向上を図るため、議会図書室の充実に努める。

2 議会図書室は、議員のみならず、町民、町職員の利用に供するものとする。

第7章 議会定数、議員報酬及び政治倫理

(議員定数)

第18条 議員定数は、条例で別に定める。

2 議会は、適正な議員定数について、必要に応じて調査、検討を行う。

(議員報酬)

第19条 議員報酬は、条例で別に定める。

2 議会は、適正な議員報酬について、必要に応じて調査、検討を行う。

3 議員報酬の改定に当たっては、佐呂間町特別職報酬等審議会の答申を尊重する。

(議員の政治倫理)

第20条 議員は、町民の負託に応えるため、高い倫理性を自覚し、良心と責任感を持って議員の品位を保持し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使せず、町民の疑惑を招くことのないように努めなければならない。

2 議員の政治倫理に関する事項は、議長が別に定める。

第8章 条例の位置付けと達成度の検証

(最高規範性)

第21条 この条例は、議会運営の最高規範であり、議会及び議員は、この条例を遵守する責務を負う。

2 議会及び議員は、議会に関する法律や法令等の条項を解釈し、運用する場合においても、この条例の定める理念や原則に照らし判断しなければならない。

(議会及び議員の責務)

第22条 議会及び議員は、この条例に定める理念、原則、この条例に基づいて制定される条例、規則、規程等を遵守して議会を適正に運営し、町民を代表する合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。

(条例達成度の検証)

第23条 議会はこの条例の目的が達成されているかどうかの検証を行うものとし、その結果について町民に情報として公開するものとする。

2 議会は、前項による検証の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。

3 議会は、この条例を改正するに当たっては、その改正理由及び背景について、本会議において詳しく説明しなければならない。

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

佐呂間町議会基本条例

令和5年3月13日 条例第7号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第2類 議会・選挙/第1章
沿革情報
令和5年3月13日 条例第7号